【長瀬智也】の役者人生を振り返る!『白線流し』『IWGP』『俺の家の話』

衝撃的な最終回で話題を呼んだ、長瀬智也主演の『俺の家の話』(TBS系)。いまだ興奮冷めやらぬ様子が、SNSからも伝わってくる。今回の作品をはじめ、長瀬智也と宮藤官九郎による作品は大きな話題を呼んできたが、もちろん長瀬は宮藤官九郎作品のみならず多数の作品に出演してきた。TOKIO正式加入前の作品から俳優としての長瀬の活躍を辿ってみたい。

『ツインズ教師』から『白線流し』生徒役を多数演じた90年代
1993年放送のドラマ『ツインズ教師』(テレビ朝日系)に生徒役として出演した長瀬。高嶋政宏と石黒賢がW主演を務める学園ストーリーで、当時、流行していたセンターパートのヘアスタイルで、長身であることもそうだが、この頃から表情豊かな演技で目を引く存在だった。

翌、1994年に長瀬はTOKOのメンバーとして正式加入し、9月に「LOVE YOU ONLY」でCDデビュー。なお、同年には矢沢永吉主演の『アリよさらば』(TBS系)にも生徒役で出演した。トレンディドラマの雰囲気を帯びた『最高の片思い』(フジテレビ系)では、主演の本木雅弘、深津絵里らが繰り広げるラブストーリーに、杉本哲太演じる麻生竜平の弟・哲役で出演。若手バイプレーヤーらしいさわやかさと、ちょっぴり背伸びをするやんちゃな姿があった。

90年代に出演した作品の中で、長瀬の代表作と呼べるのは『白線流し』(フジテレビ系)だろう。長野県松本市の高校を舞台に、7人の青春を描いた群像劇で、長瀬は定時制高校に通う大河内渉を演じた。渉は母親が家を出てしまい、後に父親を病気で亡くし、中学卒業からは自活するという複雑な生い立ち。定時制高校に通いながら昼は工場で働く寡黙な渉。まだ親を頼ってもおかしくはない年頃で、身寄りのない寂しさや孤独を秘めた演技が光っていた。投げやりになる一方で捨てきれない天文台で働く夢……高校3年生という多感な時期で口数が少なく、喜怒哀楽を顔に出すタイプではない渉を繊細に演じきったと言える。長瀬の澄んだ瞳と渉の誠実さがリンクした。翌、97年には彼らのその後を描いた『白線流し・19の春』をはじめ、2005年までほぼ2年おきにシリーズ作品が放送。つまづき、悩みながらも少しずつ大人へと成長していく様子が描かれた。

「ブクロサイコー!」大ヒット『IWGP』から、役名でCDリリースした2000年代
宮藤官九郎との相性の良さをみせつけたのが2000年放送『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)。池袋を舞台にカラーギャング集団のトラブルなどを解決するトラブルシューターとして頼られるマコトを熱演。日常をコミカルに描く一方で、容赦ない壮絶なシーンもあり。ギャング集団の抗争が白熱していく中でも、ブレない芯を持ち、人思いなマコトと長瀬には重なるものがあった。

2001年放送の『ムコ殿』(フジテレビ系)では、“抱かれたい男No.1”に輝く大人気シンガーソングライター・桜庭裕一郎を演じた。表舞台でみせるクールな顔とは違い、実は可愛らしい性格の裕一郎は、竹内結子演じる新井さくらと結婚したが、新井家の婿養子という秘密を抱えていたという設定。ラブソングを雰囲気たっぷりに歌い上げるクールなトップスターと、さくらにデレデレでちょっと頼りないけれどハートは熱い夫との、2面性を上手く演じ分けていた。なお、桜庭裕一郎が歌う劇中歌「ひとりぼっちのハブラシ」もリリース。劇中の登場人物がCDデビューするのは当時としても珍しい取り組みであり、後に事務所の後輩たちも続いた。

2005年には『タイガー&ドラゴン』(TBS系)でヤクザで噺家の山崎虎児を、翌2006年には『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ系)で、27歳で高校に入学したヤクザの若頭・榊真喜男役を演じた。182センチの長身に加えて、表情や発声を操り迫力ある演技をみせるが、胸に熱いものを秘めている様が伝わってくるのは、長瀬ならではの演技と言える。

今年1月に出演した『ぴったんこカンカン』(TBS系)で、過去の出演作品を振り返った長瀬は、「まともな役が1個もない」と笑みを浮かべながら語っていた。言われてみれば、深く印象に残っている作品は風変りな役が多い。しかし、役どころの肩書きや経歴はともかく、演じた人物の人間味に溢れる姿に胸を打たれた。

『タイガー&ドラゴン』(TBS系)のラスト、虎児が「タイガータイガー……」と放つと、「じれったいがー」と観客が声を揃える。マイクをもってさらに「タイガータイガー」と続け、会場が感涙しつつ一体化していくのだが、長瀬にはそんな風に観る者を惹きつけるものがあった。

TOKIOの長瀬として、最後の出演作品となった『俺の家の話』。テーマは自分の父親の介護。そしてまさか、まさかの展開をみせた寿一の最期。事務所を退所することが決定する前から結末は決まっていたというが、物語と長瀬が打ったピリオドが重なるミラクル。なんとも彼らしい幕の引き方ではないか。

デビュー前にアイドル雑誌に登場していた当時はサラサラの長い髪が印象的で、姉と一緒に登場したこともあった。TOKIOのデビュー当時は短パンでタンバリンを持っていた長瀬。楽器はギターに変わり楽曲制作に携わるように。演じる役どころも、バイプレーヤーから圧倒的存在感を放つ主演へと変わっていった。

長瀬の出演作品とともに年齢を重ねてきた視聴者も少なくないだろう。今後もいつかどこかで、長瀬が携わった作品がみられることを期待しつつ、まずはこれまで沢山の物語に出会わせてくれたことへの感謝を伝えたい。

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