昨年12月31日に行われた「史上最高の日本人対決」で、最強の挑戦者・田中恒成(25)を相手に8回TKO勝利を収め、WBO世界スーパーフライ級チャンピオンの座を防衛した井岡一翔(32)。その後、左腕に入れたタトゥーが問題視され、日本ボクシングコミッション(JBC)から厳重注意処分を受けたことも記憶に新しい。実は、この試合を巡り、日本人初の「世界4階級制覇王者」にある“疑惑”が浮上しているのだ。
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JBC関係者によると、
「昨年大晦日の世界タイトルマッチに際して、井岡と田中は試合前にドーピング検査を受けています。JBCによる世界戦のドーピング検査は1990年代以降、20年近く行われてきましたが、これまで“陽性反応”は一度も出ていません。それだけに、試合後に判明した簡易検査の結果は衝撃的でした……。採取した井岡の尿検体から“マリファナ”の成分の陽性反応が出たのです」
事態を重く見たJBCは、より専門性の高い検査機関に再鑑定を依頼。すると、
「今度はマリファナとは別の3つの成分が検出された。もちろん、これらの成分が出たからといって、直ちに井岡が違法薬物を摂取していたとは言えません。問題は、最初の検査で陽性反応が出たマリファナ、そして、二度目の検査で検出された3つの成分が、いずれも世界ドーピング防止機構(WADA)が競技会時の使用を禁じている物質であること。JBCとしても、対応を迫られる事態になっているのです」(同・関係者)
ボクシング業界に詳しいジャーナリストによれば、日本人選手がドーピング違反で処分されたのには前例がある。
「2017年12月に、米・ラスベガスでの世界戦に勝利した尾川堅一のケースです。この試合の後、ネバダ州のアスレチック・コミッションによるドーピング検査の結果が判明し、尾川の尿から筋肉増強効果があるテストステロンが検出された。アスレチック・コミッションは尾川に6ヵ月間の出場停止処分を言い渡し、試合も無効となりました。日本人選手が世界戦でドーピング違反となったのは史上初。この件を受けて、JBCも尾川に対し、プロボクサーライセンスの1年間停止という、より厳しい処分を下しています」
井岡の検体からマリファナの成分が検出されたことから、JBCは警視庁にも相談を持ち掛けており、実際に井岡は警視庁から聞き取りを受けているという。
井岡の弁護士は、週刊新潮の取材に以下のように回答している。
《警視庁(本庁)から井岡に連絡があり、知りうる事実を回答しております》
《警視庁からは4月上旬、ドーピング検査の検体から大麻成分が検出されたと伝えられました》
その上で、《警視庁から、捜査は終了した、との報告を数日後に受けており》、《井岡に対する嫌疑は既に晴れております》と結ぶ。
一方、ドーピング疑惑を含め、JBCは現在も対応を協議している。井岡が厳しい処分の対象となる可能性は残る。