RENAが明かす引退発言の真実。

2020年9月27日、さいたまスーパーアリーナで開催された『Yogibo presents RIZIN.24』。富松恵美を判定で下したRENAは、試合後のリングでこう叫んだ。

「楽しい、つらい時期を過ごしたRIZINですが、あと2、3試合でこのリングから降りようかなと思っています。RENA最終章、もう少し頑張りますので、応援よろしくお願いします」

これまで道なき道を切り開き、女子格闘技界を牽引してきたRENA。今年の6月に30歳を迎える彼女は、どのようにして自身の格闘人生に幕を下ろそうとしているのか。そして、ひとりの女性としてどのような未来を描こうとしているのか。リングを降りる日を見据えた格闘家・RENAの視線の先に迫った。

【無我夢中で駆け抜けてきた格闘技人生】

――小学生の頃、「いつかお姉ちゃんたちをシバいたる」という思いで格闘技を始められたと聞いたことがあるのですが、そこから"ハマった"きっかけは何だったんですか?

「小学生6年生の時にシュートボクシング(SB)のジムに入り、基本的な技術を教えてもらいました。そのあと、実践形式の練習をしたのですが、パンチやキックを繰り出しても相手役の先生に一度も当たらなかったんです。それが悔しくて、でも、楽しくて。それからは年齢を重ねるにつれて、攻防の技術が面白く感じるようになっていきました」

――RENAさんは16歳でプロデビューしていますが、プロを意識したのはいつ頃ですか?

「最初は『何が何でもプロになりたい!』という感じではありませんでした。当時は女子の格闘家が少なく、対戦相手を探すのも難しい時代で、中学生の頃は大会も『一般の部』に出場していたんです。それでも、負けることはなかったですね。すると、周囲から『プロになったらどうだ?』と言われるようになり、自然とプロを目指すようになりました」

――自分の意思ではなかったんですね。

「はい。当時は、SB日本スーパーフェザー級王者の及川知浩さんが主宰する道場に所属していたので、小さい頃からプロの厳しさを目の当たりにしていました。だから、『私には無理だ』と思っていたのですが、『ダメ元で一回やってみたら?』と言われ、『それならやってみようかな』という軽い気持ちでプロの世界に入りました」

――その後、RENAさんはシュートボクシングの女子トーナメント「Girls S-cup」で4度の優勝を果たすなど、女子格闘界のアイコン的な存在になっていったわけですが、「転機」はいつだったと思いますか?

「無我夢中で格闘技に取り組んでいたら、まったく注目されていなかった女子格闘技に光が当たるようになっていった。特別な出来事や転機があったというよりは、道なき道をひたすら切り開いていくうちに、今の状況につながったという感覚ですね」

――これまで、格闘技だけでなく、タレント業も積極的に行なってきましたね。

「選手としての活動だけではなく、タレント業を通じて女子格闘技を広めていきたいと思っていました。それに、普段はなかなか会えない人たちと交流できるのは、純粋に楽しいんです」

【引退を決めた理由と、その後のプラン】

――2020年9月に開催されたRIZINにて、試合後のリング上で突如、引退を宣言されました。どういった心境からの発言だったんでしょうか。

「少しダラダラと格闘技を続けている自分がいることに気がついたんです。長く現役を続けることは可能かもしれませんが、ダラダラとするのは自分の理想の姿ではありません。だから自分に『喝を入れる』意味も込めて、選手としての『終わり』を決めました」

――以前から「満員の会場で引退したい」という主旨の発言をしていましたね。

「そうですね。その気持ちに変わりはありません。強いままの自分で引退したいですね」

――引退後のキャリアも考えていますか?

「はっきりとは決めていませんが、会員制のジムや、居酒屋などを経営したい気持ちがあります。居酒屋は、お客さんたちと一緒に楽しく飲む小料理屋さんのイメージです。でも、占い師さんに占ってもらう機会があった時には、『そのような庶民的なお店ではなく、高級店のほうが繁盛する』と言われました。普段は占いを鵜呑みにはしないんですが、その選択肢もありかなと(笑)」

――ジムについてはいかがでしょうか。

「今まで自分がやってきたことを最大限に活かせるのは、やはりジムで教えることだと思っています。ただ、引退後のことについてはまだ漠然としている状態です。タレント活動についても、求められたら嬉しいですし、できたら続けていきたいと思っています」

――自身のYouTubeチャンネルでは、WWE(アメリカ合衆国のプロレス団体及び興行会社)にも興味があると言及されていました。プロレスの世界にも興味があるんですか?

「プロレス特有の"受けの美学"について、まだよくわかっていないんです。これまでとは真逆の世界なので、本当にやるとなればしっかり考えないといけませんが、興味はありますね」

――他に何か興味があることは?

「犬に関わることですね。実際に始めようとしているのは、犬の服を作ること。アパレルブランドの『MOBSTYLES』さんとコラボを企画している最中なんです。4匹のワンちゃんを飼っていて、いつも犬に囲まれた生活をしているのが、その話につながりました」

【30歳を目前に考える結婚と出産】

――仕事面とは別の、ライフプランについてはどう考えていますか?

「結婚、女性は出産もありますが、私は家庭に収まるタイプの人間ではないので、『仕事も家庭も両立できる』ということを実践したいと思っています」

――「家庭に収まるタイプではない」というのは、やりたいことがたくさんあるということですか?

「そうですね。家庭を守るというよりも『私が養ってやるよ』ぐらいの感覚で(笑)。でも、そう言いながらも、たぶんひとりでは生きていけないタイプだと思います。

若い時に思い描いていたプランでは、23歳で結婚して、26歳には子どもがいたはずなんですけどね(笑)。今年6月には30歳を迎えます。周りの友達にも子どもが生まれるなどして、少し焦る気持ちもあったんですが、今は『35歳頃までに結婚していればいいかな』と思っています」

――引退までわずかとなった競技生活についてはいかがですか?

「外国人選手が来日できるのかなど、新型コロナウイルスの影響で不透明な部分はありますが、夏と年末には試合をしたいですね」

――RENA選手の現役最終章に期待しています。

「ありがとうございます。ファンのみなさんにも、これまで応援していただいた恩を返せるように頑張ります!」

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