コロナで判明、日本人が「満員電車通勤」をやめることの巨大効果
現代ビジネス
そろそろ本当に検討した方が良い。パチンコ屋と満員電車

日本はすでに不況期に入った
米中貿易摩擦や消費増税が影響し、我が国の2019年10-12月期のGDP(改定値)は、年率換算で7.1%減となりました。

中国に端を発した新型コロナの感染拡大によって、2020年1-3月期のGDPもマイナスになるのが避けられず、そのマイナス幅がどの程度になるかが注目されています。

日本で感染が拡大した原因は、中国からの渡航禁止を湖北省だけに限定した政府の瑕疵によるものですが、今となっては政府を責めてばかりもいられません。日本はすでに不況期に入ったという識者が増えてきているなかで、この教訓を生かしていかに日本の将来を明るいものにしていくかを考えなければならないのです。

そういった視点から私は、今回の新型コロナ騒動が長い目で見たら日本経済にとって、「災いを転じて福となす」大きなチャンスになると捉えています。それは、「テレワーク」という働き方がやっと多くの人々に認知されるきっかけになったからです。

長い通勤時間は本当に必要なのか
テレワークとは、「テレ(tele)=離れたところで」と「ワーク(work)=働く」を組み合わせた造語であり、情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことを指しています。

テレワークは働く場所によって、主に「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」の3つに分けられますが、私がもっとも重要だと考えているのが「在宅勤務」です(「サテライトオフィス勤務」に関しては、大企業の長時間労働の隠れ蓑になっているケースがあるため、あまり良い印象を持っておりません)。

テレワークはもともと、東京オリンピック・パラリンピック時の道路の渋滞や鉄道の混雑を緩和するために、NECや富士通、パナソニックなど一部の大企業で少しずつ導入が進んできました。

ところが、テレワークが日本の生産性を大幅に引き上げるポテンシャルを秘めていることについてはあまり知られていないのです。

在宅勤務で「生産性が2~3割」は上がるワケ
総務省の2016年度の調査によれば、テレワークを導入する企業の生産性は、導入していない企業の1.6倍にもなるという結果が出たといいます。実際に、テレワークを導入した企業の9割が効果を実感することができたと回答しています。

2016年の段階では調査対象となるサンプル数が少ないことから、生産性における効果をそのまま鵜呑みにするのは控えたいところですが、それでも感覚的には生産性が少なくとも2割~3割は容易に上がるということはわかります。

なぜかというと、大都市圏では毎日の通勤が「痛勤」と表現されるほど肉体的および時間的な負担が大きいので、その負担をなくせるだけでも効果が大きいはずだからです。

総務省の2016年の統計によれば、神奈川県の通勤時間が1時間45分ともっとも長く、次いで千葉県が1時間42分、埼玉県が1時間36分、東京都が1時間34分となっており、全国平均の1時間19分と比べると、東京圏ではとくに通勤時間が長くなっています。

全国にしても都道府県別にしてもあくまで平均の時間ですから、東京圏にかぎらず大都市圏に通勤している人であれば通勤に2時間かけているというのも決して珍しくはないでしょう。

在宅勤務が一般的な働き方となった場合、そういった通勤時間がなくなる分、会社勤務より早い午前8時から仕事を始め、夕方の4時~6時には終わらせることができるようになります。

なおかつ、満員電車に揺られる通勤で体力を消耗することもなく、最初から仕事に集中できるというメリットもあります。当然のことながら、仕事における生産性を高めながら、残業となるべき時間も減らすことができるわけです。

1日90分以上の時間が節約できる
これまで毎日の通勤に当てていた時間を遠慮なく仕事に振り向けることができれば、どれだけの成果が得られるか、みなさんも想像ができるでしょう。

たとえば、1日で1時間の通勤時間が節約できれば、1年間で240時間、すなわち、30日働く分の時間が節約できます(年間240日勤務の場合)。東京圏に勤める人々は平均して1日90分以上の時間が節約できることになるのです。

そのうえ、通勤による疲弊がなくなれば仕事への集中力がいっそう高まり、長労働時間を減らす効果が見込まれます。

その結果、日本の出生率が上がる効果も期待できます。

フランスやスウェーデンなどの事例を見れば、労働時間を短くするように改めれば出生率が上がるということは実証されていますし、厚生労働省の2014年の調査によれば、夫の家事・育児時間が長いほど、第2子以降の出生割合が増えているという実態が明らかにされています。

テレワークの普及は、育児や子育てで離職せざるをえなかった女性が再び働く機会を与えます。

夫婦で働くことで経済的に安定するのに加えて、女性が自由な働き方を選択できるのであれば、第2子や第3子を欲しいと思う強い動機付けになると考えられます。

働き方は「時間」から「成果」へ
テレワークの効果は、それだけではありません。たとえば、今回の新型コロナ感染拡大の防止策として、小中高の一斉休校よりも満員電車の混雑緩和のほうが効果的であることは論を待たないでしょう。

たとえば、昨年のように大型台風が起こって公共交通機関が止まった時、あるいは、東日本大震災のような大規模な地震が起こって都市機能が麻痺した時、テレワークは企業と従業員の双方にとって大きなリスク回避策となりえます。

テレワークにさらに副次的な効果があるとすれば、それは私たちの働き方の意識が「時間」から「成果」へと変わっていく契機になるということです。

成果を効率的に発揮できる環境が整うことによって、会社に通勤するメリットが少なくなり、会社の外で自由に働くメリットへの関心度が高まっていくのです。

そういった意味では、政府の働き方改革に沿って労働時間の短縮を進める企業が多いなかで、今回のコロナ騒動をバネにして、テレワークで働く人々が劇的に増えてほしいと思っています。

多くの企業が働き方を「週2日は会社勤務、週3日は在宅勤務」といった形に変えることができるだけでも、日本の生産性は大いに伸びること、ひいては日本経済が人口減少下でも下支えできることが期待できるというわけです。

今のところ、テレワークを本格的に導入しているのは一部の大企業が主体となっていますが、できるだけ多くの企業が生産性向上と少子化対策の両立が可能だと認識したうえで、テレワークを勤務形態の核として取り入れることを切に願っています。

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